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靖国「遊就館」を訪ねて(藤井靖久・片山光江・西尾由香)
2005年7月9日、事務所として毎年実行委員会に参加している「平和のための八尾戦争展」の資料収集のため、靖国神社へ行って来ました。寺沢達夫弁護士、原野早知子弁護士、事務局から3名参加で、神社内にある資料館「遊就館」を中心に半日コースで廻りました。こんなことも無ければ一生足を踏み入れることはないだろう、と思いこのツアーに参加しました。靖国神社は皇居に近く、日本武道館も目の前という、なんか猛々しい(?)場所にあり、こんな場所だったらとある意味納得してしまいました。大きな鳥居のそばには、実在するとは思わなかった「さざれ石」が置いてあり、つい、君が代を口ずさんでしまいました。神社そのものは、他の神社とそんなに違ったりしていないということがかえって不思議でしたし、カップルもデートで訪れていたり、学生のグループをちらほら見かけたりと、まるで観光地京都の神社のように、普通に人々に受け入れられていることに、とても驚きました。
靖国神社のエッセンス的存在の「遊就館」(2003年に改築された資料館)は、かなりの費用をかけただろうと思われる近代的な建物で、戦争資料館独特の暗さは全く感じられませんでした。ちょうど、夏休み期間ということで、7月1日〜8月31日まで、小中学生は拝観料無料となっていました。玄関を入ってすぐには、零戦・機関車の実物が展示されていたり、特別企画(このときは「日露戦争百年展」)が開催されており、興味を引く工夫がふんだんにされていました。この「日露戦争百年展」の出入り口側にノートが置いてあり、見学者の感想が書かれていました。一体どんな感想が書かれているのかと、しばらく読んでみると、なかには「自衛権を行使して日本を守れ」とかも書かれていましたが、おおむね「戦争賛美だけではいけない。悲惨さも展示すべきだ」「戦争を二度としてはいけない」とか、共感できる感想でほっとしました。
本館は、展示室が20室にも分けられ、年代順に、開戦から敗戦までの経緯を説明していますが、侵略戦争を正当化し、徐々に洗脳していくような展示でした。どの展示室も、悲惨な事実は一切拭い取られ、本当にあったこと、知りたいことが意図的にかわされており、何も知らずに修学旅行等で連れて来られたら、きっと、「この戦争は正しかった」と認識してしまうのではないか、と思いました。途中、短大生の団体にも出会いましたが、写真を見て「かっこいい」等の感想を耳にし、自分たちとは全く無縁のもの、美術館や記念館にでも来ているような軽い気持ちなのではないか、と恐ろしく感じました。展示室16〜18は「靖国の神々」と題して、戦没者の遺品や遺影を展示していました。戦争で、家族や大事な人を失った人々の悲しみを利用しつつ、でも「だから戦争はいけない」というどころか、あくまでもあの戦争は正しかった、やむを得なかったという主張を平気で繰り返していることが一番の問題点であると思います。新聞やテレビで、最近特に靖国神社にスポットライトがあたっています。このまま、なしくずし的に靖国史観を受け入れてしまうということは、絶対許してはいけない、と改めて思い靖国を後にしました。今回のツアーの経験を生かし、今年の事務所の「平和のための八尾戦争展」のテーマは「靖国神社と憲法〜戦争賛美と戦争放棄」に決まりました。「遊就館」では隠された真の歴史を伝えたいと思います。 (自由法曹団大阪支部ニュース2005年8月12日号)
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