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 1998年1月に文春文庫から「5000年前の男〈解明された凍結ミイラの謎〉」という題名の本が書店の棚に並んでいるのを見つけて夢中で読んだ。この本の内容を簡単に説明しておこう。
 1991年9月19日、オーストリアとイタリアの国境近く、チロルでも最も有名なエッタールの谷奥の3,210mのシミラウン氷河から、紀元前3300年頃の男性のミイラが完全な形で発見された。しかも携帯品や服、その他いろいろの道具を所持していた凍結ミイラであった。
 このミイラの発見後、徹底的な研究調査がなされ、5000年前の新石器時代のチロル・アルプスの人々の生活が解明されていくスリル満点の本がこの本である。
 このミイラが発見されたシミラウン氷河の近くには、シミラウンヒュッテ(3,017m)があり、たまたまこの近辺を登山していた夫婦が、偶然道をそれたため、この大発見になったのである。また同じ頃、世界的に有名なチロルの登山家ラインホルト・メスナーもシミラウン小屋に行こうとしており、この発見に立ち会うことになったことも話をいっそう面白くしている。
 エッタールの最奥の谷にある村がフェント村(Vent)で、この村で1,893mの標高である。このフェント村でホテル「ポスト」を経営しているピルパマー父子が大活躍する話も加わっており、山や谷や村を想像するだけでも夢がふくらんでくる思いがしていた。
 この本を読んでから、チロルのこの谷に行ってみたい、できれば氷河の小屋までもと思い続けていた。
 2004年7月、ようやくエッタールの谷に行くことができた。

エッツィ村にて
  7月19日(月)午前8時、インスブルグの王宮のすぐそばの「グラウアーベアーホテル」をバスで出発した。曇り空ではあるが、雨が降る心配はなさそうだ。西へ約1時間走るとエッタールの谷の入り口に到着する。この谷はイン川から67qの長さで南に延びている。
  今年のチロルの山旅は、昨年のヨーロッパアルプスの山旅のつづきといってもよく、佐賀労山のメンバー9人と鈴木弁護士夫妻、蒲田弁護士など関西からは11人のメンバー、添乗員を入れて合計21名である。50人乗りの大型バスでの移動なので、ゆったり座っていける。
  「はじめに」でも書いたように、新石器時代のアイスマンが発見され、このミイラは「エッツィ」と名付けられた。また、これを記念してエッタールの谷に入ったすぐのエッツィ村に、小さな考古学野外博物館「エッツィ村」が開館された。まずこの博物館を訪問し、女性のガイドから説明を受けながら、新石器時代の農作物の実験的な畑や、ヨーロッパで絶滅した野牛、当時の農具、狩猟具、丸木舟などを見学して廻った。

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