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HOME > 情報発信 > 孔市良通信 > オーストリアチロルアルプスとドロミテの山と花の旅T


 

1.フェント村から来た道を二股に分かれるところまでバックして、グルグル谷の方に入り、30分でオーバーグルグルの村に到着する。この村の標高は1,907mで2000mに近く、高原の村といった感じである。
 ホテルは「エーデルワイス・グルグル」という名前で、1889年創業の古い四ツ星ホテル。早速ホテルの部屋に入って荷物を置く。窓を開けるとホーエムート(2,653m)へ登るリフトの駅が目の前に見える。
 今日はホーエムートまでリフトを乗り継いで登り、二つの氷河の近くまで30分程登り、ここから氷河の末端に沿って村まで帰るハイキングをすることがメインである。
 ホテルのすぐそばのリフト乗り場から二本乗り継いで、約20分でホーエムート山に着く。このリフトに乗りながら下の斜面を見ると、一面アルペン・ローゼの花が赤く咲いており、ヨーロッパに何度も来ているが、こんなに満開近くのアルペン・ローゼの群生を見るのは初めてで、まずこの出会いに感動してしまった。
 ドイツ語で「アルペン・ローゼ」と呼ばれるこの花は、ツツジ科ツツジ属に分類されているが、数少ないヨーロッパ産のシャクナゲで酸性度を好み、3,200m 位までの日当たりに咲く小灌木である。
 昨年モンブランへの途中駅からモンタンベールまで山道を歩いたが、そこはアルペン・ローゼの咲く有名な山道といわれていたが、まったく花には出会わなかった。今回はこの高さと時期がよかったのだと思う。

 ホーエムートのリフト駅を降りるとそこに山小屋があり、ここから二つの氷河に向かって歩き出す。写真の通り、左側の氷河がガイスベルク氷河、右側にロートモース氷河が見える。青空のもと、氷河の白さが目にまぶしい。
 この辺りでは黄色の濃いシナノキンバイ、白の花びらクリサンセマム・アルピヌム(キク科キク属)、また雪解け水のそばではサクラソウ科イワカガミダマシ属と変わった属名のミヤマカガミ、ソルダネラ・プシラがピンク色で小さくかわいく咲いている。この花に出会うのは初めてである。湿った岩場では、サクラソウのプリムラ・ヒルスタが美しい。花を見てそれらを写しているとなかなか前に進まない。こんなに次々と花に出会えるなんて、うれしくて仕方がない。
 氷河の近くからは、もう下りばかりである。しかし、山道の両側はお花畑の連続で、残雪の山々を眺めながら、シェーンヴィースヒュッテ小屋までの斜面では、アルプス・マーモットを見た人もいたらしいが、私はもう高山植物に夢中であった。
  特にリンドウの色は、この辺りでは一層さえた美しさであり、チャボリンド ウ(ゲンチアナ・コキアナ)の深い紺紫の色は印象に残った。どこでも群生していて薄いブルー色がかわいいワスレナグサは、アルペン・ワスレナグサと呼ばれ、1,500〜3,000mに咲く高山性のものである。

2.シェーンヴィースヒュッテ(2,324m)まで下って、みんなが一応そろって休憩。 氷河から流れる川原には明るい紫色の花が群生している。植物図鑑で見るともっと赤い色であるが、実際目で見ると紫色が濃い。ヒメキンギョソウの高山型 ゴマノハグサ科のリナリア・アルピナである。この花にも初めてお目にかかっ た。
 左手の山からの滝を見ながら、アルペン・ローゼの咲く緑の道を下って行く。足元には小さな型のゲンチアナ・ベルナのリンドウが咲いている。茎の頂部近くに数段になってかたまって咲く。黄色に栗色の斑点を持つゲンチアナ・プンクタタ(日本ではトウヤク、リンドウに似ている)も目に飛び込んでくる。こんなに大群落を見るのも初めてである。少し締めっぽい斜面では、ハクサンチドリやワタスゲも美しく風に揺れている。フウロウヤナデシコも下りの道を赤く染めている。
 私たちがやってきた時期もよかったし、天気もよかった。こうした好条件の 中で高山植物とゆっくり対面できたのだと思う。しかし、こんなにたくさんの種類の高山植物に出会えるとは思ってもみなかった。本当にオーバーグルグルからホーエムート山のハイキングは楽しいものであった。ただ私たちのグループは足の速いのと遅いのとの差が極端で、先頭と最後部では30分以上も差があり、添乗員が心配してうろうろしていたのは気の毒であった。
 私のように、花を写すのに時間をとられるハイキングは 、いつも最後列であるが、花のために来ているのだからやむをえないことと割り切っている。

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