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HOME > 情報発信 > 孔市良通信 > オーストリアチロルアルプスとドロミテの山と花の旅Z


 

 朝8時、トラウベホテルを出発した。昨夜の市民楽団によるサマーコンサートの余韻がまだ残っている。偶然とはいえ、いい思い出になった。演奏が終わって隊列をととのえて進行を始めたが、解散する地点まで後をつけてぞろぞろ歩いていった。
 バスはグロスグロッツナー山岳道路のヘアピンカーブの山道をどんどん登っていく。フランツヨーゼフ・ヘーエの少し手前、グロッナーハウスでバスを降りる。9時25分、この道路からメル川の人造湖まで下って、ダムの上を歩いて対岸に出て、少し登りつつ湖を一周してサンダー湖に向かう。今日は晴天で、左手上にはグロスグロッツナー山の山頂と氷河がくっきりと見える。
 昨日歩いたカルスからのグロスグロッツナーとは正反対から眺めていることになる。メル川は雪解けの水を集めて激しく流れている。
 メル川にかかるつり橋を渡って少し登ると、サンダー湖、パステルツェ氷河の見える場所に到着する。10時25分で、ここまで約1時間。小休止して10時35分出発する。この付近では赤色のさえたナデシコが多い。また、ナデシコ科のマンテマ属の小さな赤い色シレネ・アカリウス(コケマンテマ)も目につく。雪解けのそばでは、小さな白色のヒナギク、ハクサンチドリが咲いている。
 ところどころにアルペン・ローゼの花もあり、めずらしいのはサクラソウ科の白のヒナザクラで、いま雪の下から出てきたばかりの感じで咲いている。チャボリンドウ、ノコギリソウ、キク科の黄色いエゾコウゾリナの大群落も谷間を埋めている。
 パステルツェ氷河の先端の岩場に11時15分到着した。グロスグロッツナーは、マッターホーンの小型のような感じで、ハイキングの初めから終わりまで眺められた。パステルツェ氷河は氷の溶け方が激しく、規模も小さくなってしまっている。写真で見ると1870年代と比較して5分の1の規模に減少しているのがわかる。パステルツェ氷河も消滅するのは時間の問題だろう。それでも高所からこの氷河を見下ろすと、青く輝いていて、ところどころクレバスが見え、神秘的な感じを受ける。


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