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HOME > 情報発信 > 孔市良通信 > 「シチリア紀行−ギリシアの遺跡が残る古代都市」


 

1.はじめに
 アグリジェントは、標高230メートル、人口55,000人強のシチリア州県庁所在地であり、パレルモの反対側の地中海に面した都市である。
 紀元前580年頃、ロードス島出身のギリシア人らの手によって建設され、「アクラガス」と呼ばれていた。
 その後、紀元前480年、ヒメラの戦いでカルタゴ軍を破り、領土も経済も文化も発展した。見事な神殿も次々に建築され、「世界の都市の中で最も美しい」(ビンダロス)と賞賛されていた。ギリシア神殿が残る高台は、神殿の谷と呼ばれ、最大のものはオリエンピアのゼウス神殿で、現在は激しく瓦解して巨大な石材の山であるが、ギリシア世界でも最大級の神殿といわれ、ここにあった17メートルもある男性像テラモンの複製が地に横たわっている(実物は州立考古学博物館にある)。
 古代都市として栄えた頃は、現在の人口の5倍の30万人を数えたといわれている。街の名のアグリジェントは、前3世紀にここを征服したローマ人によって名づけられたものである。
 

パレルモからちょうど反対側の地中海に面している古代都市アグリジェントへは、2時間15分位で到着した。夕方近くではあったが、まだまだ日は高く、神殿の谷と呼ばれている広大な大地の向こうに地中海が見える。
 まず目に入ってくるのは、完璧なドーリス式神殿のコンコルディア神殿である。この神殿は、紀元前5世紀半ば頃の建立といわれ、「コンコルディア」(和解)の名にちなんで、毎年2月、世界平和を祈念して「アーモンドの花祭り」が開催されている。現在修復中で、全体をきれいに撮影できなかった。

コンコルディア神殿

  この辺りは神殿通りと呼ばれているように、神殿が次々現れる。アグリジェントで最古の神殿は、8本の円柱が残る紀元前6世紀末のヘラクレス神殿である。円柱だけではあるが、力強さを感じさせてくれる。また、8本の円柱からは、アルカイック建築の典型的な特徴が伺える。
 この神殿の谷を歩いていると、ギリシアにいるような錯覚に陥ってしまうようである。

ヘラクレス神殿


2 神殿通りにはむき出しの岩が見られ、数多くの墳墓室が次々と現れる。4,5世紀のキリスト教徒の墓ということである。
 コルコンディア神殿なども6世紀頃から、キリスト教の聖堂として使用されており、1748年までそのまま続き、それ以降、元の神殿に復帰したということである。
 キリスト教の聖堂として使用されたことが、換算か形で残されることになったのであろう。キリスト教徒の墓の存在も、聖堂との関連で理解できるのである。
 標高120メートルの神殿の丘の東端にはヘラの神殿(ンコルデア神殿よりやや早い、後期ドーリア式)があり、ここから見下ろす眺めは印象深いものであった。
 日没近くになって、この丘の上から町を眺めると、西側の丘を占める中世風の町が浮かんでくる。
 日没後は、ライトアップされた神殿の谷を廻るバスツアーがあり、夕方見た神殿を次々と見て廻った。一層神秘的な雰囲気を味わうことが出来た。


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